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道。 うちのこまとめページ

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学園男子トーク反省会

【2017.12.17】

酷いノリだった学園男子トークの反省会。
流れで書き上げました。はええよ。

年齢制限的な表現はありませんが、前の話を読んでいないと全く内容が分かりません。
ミラン視点です。


―――――

「じゃあおやすみな!」

アイゼル先輩の笑顔で、部屋から送り出された。
僕とセカルはげんなりして、リソルは上機嫌。
それぞれの自室に向かって歩き出した。

「はー…」
「ため息つきたいのはオレらの方だよ?フウキのリーダーがこんな人だったとはねー」
「もう止してくれ…」

セカルは深いため息をついた。
受けたダメージが相当大きかった様子。無理もない。

「僕だったら死にたくなるよ」
「オレだってそうだよ…」
「自分が悪いんじゃん?言われるようなことしてるから」

それはそうだ。
僕の肯定の視線を感じたのか、セカルは押し黙った。

「リソル、カイトには他言無用だよ」
「なんで王子サマが気にするんだか…ハイハイ。別にこのネタであいつをイジメようってわけじゃないよ。セカルはしばらく弄り倒すけど」

「野郎だけの時はいい。ただ、フウキのメンバーで居る時は…」
「オレに命令出来る立場なわけ?」

セカルの注文にリソルがピシャリと釘を指して、カラカラと笑った。
う……と、セカルのわずかな唸り声が聞こえた。


「じゃあオレこっちだから」
1年のリソルはすたすたと歩いていった。
僕とセカルは同学年で部屋が近い。

「さて…」
「何だよ」

僕の言葉に、怪訝そうにセカルが返事をした。

「言いたいことあんだろ」
「あるよ。廊下じゃ何だから」
「…わーったよ。オレの部屋でいいか?」
「ああ」

はー、とため息をつきながら、セカルが部屋の扉を開けた。


セカルはベッドに腰掛けた。
僕は椅子に座って、半身で向き合った。

「まずどこから話せばいいかな」
「…いいぞもう順序は。好きに叱れ」
「分かった。カイトのあれこれについて…」
「幻滅したか」
「軽蔑するよ」

だろうな…と、頭を抱えてセカルが呟いた。

「当たり前だろ。何をしてるんだキミは。正直、信じられない」
「…言いたいことは、それだけか?」

セカルが額に当てた指の隙間から、視線が見えた。
ギラリとしたその目付きに、思わずムッとした。

「それだけ?冗談じゃない。カイトのことを…何だと思ってるんだ」
「やっぱりそこだよな。お前、4人で話してた時も随分怒ってたからな」
「そうだよ。キミの趣味に口を出すつもりはないけど、カイトに酷いことをするなら、僕が許さない」

最初の仲間だった。
転校生としてやってきたカイトとセカルに、一番始めに合流したのは僕だ。
一緒にフウキの活動をしていく中で、とりわけ二人とは親密なものを感じていた。

二人が付き合っていると聞いた時は、納得したし、祝福しようと思った。
けど…

「流石に今回の話は聞き捨てられないよ。そんなことをするなら、僕が…」

そこで言葉を飲み込んだ。
セカルには、何を言おうとしたか伝わったようだった。

「…分かった。もうしないし、オレがもし今後、許せないことをしたら、お前が…」
「その時は、正々堂々行かせてもらうよ」
「こっちは守りきるまでだ」
「足元を掬われないようにね」
「ぬかせ」

お互いにふっと笑った。



「まあ、この話はここまでかな。僕の怒りは伝わったようだし。本当に反省してくれよ?」
「はー…お前が一番怖かった。アイゼル先輩の部屋で、何か言い出すんじゃないかと思った」

張り詰めた空気は立ち消え。
雑談めいた話になる。

「問題はリソルだな」
「それだ…あいつ、どこでこのネタを脅しに使うか分からねえ」
「まあ、こんな大きな弱味を見せたセカルが悪いんだけど」
「う…」

「あと、見つけたのがリソルだったから良かったんだぞ?他の人間に気付かれてたら、」
「分かってる。ってか、リソルも謎なんだよな…」

セカルは頬杖をついて、明後日の方向を見た。

「そうなんだよ。リソルは否定するけど、彼もカイトに少なからず好意はあると思う」
「あいつは真意が読めない」
「ああ。カイトと喧嘩をしてるポジションが、心地いいのかもしれない」
「は?」
「セカルも最初はそんな感じに見えたよ。カイトと喧嘩してる時が一番生き生きしてた。今のリソルと似てるね」
「…オレは、ミランに似てるって言われたり、リソルに似てるって言われたり…」
「…だからリーダーに向いてるのかもな」
「そういうもんかね」

僕は似てると思わないけど、と呟いたら、そりゃオレもだよ、と笑い返された。


「アイゼル先輩はさー…」
「何かあった?」
「いや…やっぱズリいよ。一人だけすげぇ余裕あった」
「それは思った。先輩だし生徒会長だし…といったところかな」
「自分が情けなかった…」
「僕もだよ。全く冷静でいられなかったから」
「3年になったらオレらも変わるかな…」
「3年」

僕が黙ったので、セカルは不思議そうに見つめ返した。
3年生。果たして、セカルもカイトも、その時まで学園に居るんだろうか?
封印事件が解決したら、二人は…

「どうした?」
「いや…そうだね。3年になったら、もう少し大人な先輩にならないと」

笑みを作って返してみたものの、ぎこちなかったかもしれない。


セカルが何の疑問もなく、3年生になった自分達を思い浮かべているのなら。
僕も…そんな夢を見てもいいのかもしれない。
来年も、彼らと一緒に学園生活を送ることを。


「さて!寝ようか」
「ああ…うわっもうこんな時間!?」
「明日はクラウン先輩に、目の下のクマでも指摘されそうだね」
「男共全員揃ってか?」
「はは!リソルが口ごたえしそうだな」
「タヌキってな」

いつも通りのフウキの部屋の風景を思い浮かべて、笑い合った。

「明日も賑やかになりそうだ」

セカルの部屋を出ながら言うと、思った通りの返事が返ってきた。

「いつも通りだろ?」
「だな」

「おやすみ」
「ああ、おやすみ」



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