バージョン4.3(クエスト540)音声
【2018.9.24】
バージョン4.3、クエスト540「青き閃光の誕生」クリア後の話です。
ネタバレあり。
4.3をクリアし、1週間が過ぎました。いかがお過ごしでしょうか。
私は元気じゃないです。
2日間で前作グルヤンラシュの話を書き上げた後は、4.3の記憶は抹消した…傷口が広がる…やめて…とコントローラーを握る気も起きず。
やっとこさ試練と討伐のためにインし、う…吐き気…となりながら古ウルベアに降り立ち。
クエスト受注欄が溜まってるので消化するかーとクエストNo.538を何の気なしにやり始めました。
キキミミ(クエ受注ドワ子)の話を聞いて、へー、グルヤンラシュの取材の潜入だったのか。
前作でセカルの話を書くために、古ウルベアの住民に話を聞き回ったので(グルヤンラシュの話をする住民は多くいます。)キキミミに特段の感想は持たなかったのですが。
おや、このクエスト続きがある?シリーズものだ?と気付きます。
そこからは、ご存じの通りです。兄弟の話、クオードの話、出るわ出るわ。
ちょっとー!待ってー!そういう心の準備してなかったー!
と叫びながら、No.540までクリアしました。はい。
いきなり心臓突きにくるのやめてほしい。
そんなわけで、前置きが長くなりましたが。
クエスト540後の話、あの録音音声に沿った主人公の独白です。
カイトとセカルの世界は繋がっていませんが、カイトとセカルの心情を交互に綴ります。
カイトの弟はクウト、セカルの妹はタキです。
---------------------------------
古ぼけた磁帯式録音機を再生すると、聞き覚えのある声が流れ始めた。
『時間を漂流し、気付いたらこの穴倉にいた。
ここがどこかもわからず、生きるためにさまよい
水場を見つけ、木の実を採って、飢えをしのいだ。』
ああ、クオードの声だ。まだちょっと低くなりきってない声。
エテーネ王宮で別れた後の、10年前のクオードだ。
エテーネの時のこと、それからウルベアで起こったことを思って、少し喉が熱くなる。
********
エテーネ王宮の崩落で、ウルベアへ渡ったのはクオードだけだったのか。
メレアーデはオルセコ、ファラスは現代に飛んだ。
そもそも王宮はどこに消えてしまったのか…謎はまだ残るが。
********
『辺りをさまよい、ただ時間だけが過ぎていき……
孤独に耐えかねた頃、穴倉の外に倒れているクウトを見つけた。
クウトを介抱し、話を聞くと
俺と同じ時間漂流者だと判明した。
孤独の中で得た仲間はとても心強かった。』
クオードは、一人じゃなかったんだ。
ちょっとだけほっとした。知らない土地で、一人がどれだけ心細いか知ってるもの。
エテーネルキューブで初めてドミネウス邸に降りたときに、何者かも分からないあたしにメレアーデが優しくしてくれて、とっても嬉しかったんだから。
あのときのクオードは冷たかったよねーって、文句言ってやりたいけど。
********
…タキは、クオードの時渡りより後に来たものだと思っていた。想定外だった。
同時…ということは、10年間一緒にいたことになる。
クオードは歳を取っていた。タキは…?
時空を渡り長旅で苦労したからであろう、少し凛々しくはなったが、タキの幼い顔立ちは変わっていない。
時渡りの術者の…副作用?
ラゼアの風穴の研究室で読んだ書物が、脳裏に焼き付いている。
********
『俺はクウトにおのれの身の上を話し
俺は姉に再会するため、クウトは姉と再会するため
協力することになった。』
クオードとクウトが一緒に生活してたなんて、何だか変な感じ。
あいつら絶対あたしの悪口言い合ってたでしょ!
なーんて。想像したら笑える。あいつらも、笑って会話してたのならいいな。
仲良く過ごしてくれてたのなら、嬉しい。
********
タキがクオードと一緒に暮らして…いや、歳の差はオレと同じくらいだ。
タキにとって、クオードは兄くらいに思ってただろう。そうだ、そのはずだ。
決してそんな…どこの馬の骨とも…いや分かってる奴だけど…
と、とにかく、クオードはメレアーデのことしか見えてない奴だ!
心配するようなことは起きてないだろう。きっと。
…オレも人のことは言えない、か…。
********
『我々は大きな野望を果たすために
穴倉を出て、どこかの町を目指して旅立つ。
この先の困難は並大抵のことではないはずだ。
だが…俺、クオードとクウトは必ずやりとげるだろう。
初心を忘れぬため、決意をここに残す。』
初心、ね。
心にモヤがかかったような気持ちになる。
これを聞かせてやりたい。クオードのバカ。
そうよ、あんたはこういう奴だったじゃない。
こんな決意表明するほど、バカがつくほど真面目で。
これからのエテーネ王国を導くはずだったのよ。
この時に抱いてた、やりとげた未来ってやつをさ…見たかったな。
********
この先の結末を知った上で、あいつの声を聞くのは心苦しい。
録音の時には、純粋にエテーネを救うことを考えてたんだろうな。
道を誤る前…この頃ならまだ、お前を救うことが…
もしも、お前がこの決意を録音したことを覚えていて、聞き直す機会があったのなら…
未来は変わったんだろうか。
オレは磁帯式録音機の電源を切った。
********
「これはグルヤンラシュの声ね……
肉声での録音をゲットできたのはいいけど
内容が突飛すぎて…時間を漂流って……?」
一緒に音声を聞いたキキミミの反応を見て、普通はそうなるわよねえ、と一人で納得してた。
時間を漂流なんて、普通の人に分かるはずない。
帝国技術庁を出て、ウルベア城下町をゆっくりと歩いていた。
音声のことは、ウルタ皇女やマリッチに話すこともできない。
08号が一緒なら、話し相手になってくれたかなー!
はー。どうしてあたし一人でこんなに抱えなきゃいけないのよ。
クオードのバカ!クウトもバカ!
クオードについての愚痴はクウトに言うべきなんだろうけど、クウトもどこにいるか分かんないからなあ…。
クオードの録音を思い出す。
クオードはエテーネ王宮の崩壊で古ウルベアに飛ばされて、同じく時空に飛ばされたクウトに会ったのよね。
クウトは…いつのクウトだろう?
もーあいつ、あっちこっちで会うからわけ分かんない!
えーっと…でもエテーネルキューブを作ったのはこの時代?だから、ナドラガンドで会ったクウトより前ってことになるのかな。
あーもうダメ!頭破裂する!難しいこと考えるのはやーめた!
今度クウトに会ったら聞く!そんで殴る!以上!
本当は、クオードも100倍くらい殴りたいんだからね!
勢いよく頭上に拳を振り上げ、空を切る。
空は夕日に染まってた。あいつの最期を思い出して息を飲んだ。
勝手にあたしの頭の中に出てこないでよ。…バカ。
********
キキミミに磁帯式録音機を渡して、お礼を貰った。
彼女は真実を知ったが、到底普通の人間が信じられる内容ではない。
スクープとして取り上げるのか、冗談っぽく話していた小説として作り上げるのか。
真相は分からない…いや、現代の書物を探せば伝承されてるかもしれない?
まずはドルワーム、ガタラも行ってみるか。
旧ウルベアやガテリア跡地はどうだろう。
現代のどこかで、グルヤンラシュの名前は見た気がする。
当時は、なんて覚えにくい名前だとしか思ってなかったが。
また片っ端から本棚を漁るか。チリさんに驚かれそうだ。
あとはビャン皇子に話を聞いて…
調べることはまだまだある。
タキのことは、きっと大丈夫だろう。
大魔神のいた地下の崩壊のときに時渡りの光が見えたから、どこかに転移したはずだ。
滅びたエテーネの村で、ハナと約束したんだ。
オレはタキを信じる。
オレが思っている以上に頼もしく、タキはオレの旅を支えてくれている。
次に会うのはいつだろうか。ゆっくり話す機会を取りたい。
あいつの好きなお菓子作りを一緒にしてさ。
そのときは、クオードの話も聞こう。
楽しかった話も、辛かった話も、全て受け止めたいから。
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バージョン4.3、クエスト540「青き閃光の誕生」クリア後の話です。
ネタバレあり。
4.3をクリアし、1週間が過ぎました。いかがお過ごしでしょうか。
私は元気じゃないです。
2日間で前作グルヤンラシュの話を書き上げた後は、4.3の記憶は抹消した…傷口が広がる…やめて…とコントローラーを握る気も起きず。
やっとこさ試練と討伐のためにインし、う…吐き気…となりながら古ウルベアに降り立ち。
クエスト受注欄が溜まってるので消化するかーとクエストNo.538を何の気なしにやり始めました。
キキミミ(クエ受注ドワ子)の話を聞いて、へー、グルヤンラシュの取材の潜入だったのか。
前作でセカルの話を書くために、古ウルベアの住民に話を聞き回ったので(グルヤンラシュの話をする住民は多くいます。)キキミミに特段の感想は持たなかったのですが。
おや、このクエスト続きがある?シリーズものだ?と気付きます。
そこからは、ご存じの通りです。兄弟の話、クオードの話、出るわ出るわ。
ちょっとー!待ってー!そういう心の準備してなかったー!
と叫びながら、No.540までクリアしました。はい。
いきなり心臓突きにくるのやめてほしい。
そんなわけで、前置きが長くなりましたが。
クエスト540後の話、あの録音音声に沿った主人公の独白です。
カイトとセカルの世界は繋がっていませんが、カイトとセカルの心情を交互に綴ります。
カイトの弟はクウト、セカルの妹はタキです。
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古ぼけた磁帯式録音機を再生すると、聞き覚えのある声が流れ始めた。
『時間を漂流し、気付いたらこの穴倉にいた。
ここがどこかもわからず、生きるためにさまよい
水場を見つけ、木の実を採って、飢えをしのいだ。』
ああ、クオードの声だ。まだちょっと低くなりきってない声。
エテーネ王宮で別れた後の、10年前のクオードだ。
エテーネの時のこと、それからウルベアで起こったことを思って、少し喉が熱くなる。
********
エテーネ王宮の崩落で、ウルベアへ渡ったのはクオードだけだったのか。
メレアーデはオルセコ、ファラスは現代に飛んだ。
そもそも王宮はどこに消えてしまったのか…謎はまだ残るが。
********
『辺りをさまよい、ただ時間だけが過ぎていき……
孤独に耐えかねた頃、穴倉の外に倒れているクウトを見つけた。
クウトを介抱し、話を聞くと
俺と同じ時間漂流者だと判明した。
孤独の中で得た仲間はとても心強かった。』
クオードは、一人じゃなかったんだ。
ちょっとだけほっとした。知らない土地で、一人がどれだけ心細いか知ってるもの。
エテーネルキューブで初めてドミネウス邸に降りたときに、何者かも分からないあたしにメレアーデが優しくしてくれて、とっても嬉しかったんだから。
あのときのクオードは冷たかったよねーって、文句言ってやりたいけど。
********
…タキは、クオードの時渡りより後に来たものだと思っていた。想定外だった。
同時…ということは、10年間一緒にいたことになる。
クオードは歳を取っていた。タキは…?
時空を渡り長旅で苦労したからであろう、少し凛々しくはなったが、タキの幼い顔立ちは変わっていない。
時渡りの術者の…副作用?
ラゼアの風穴の研究室で読んだ書物が、脳裏に焼き付いている。
********
『俺はクウトにおのれの身の上を話し
俺は姉に再会するため、クウトは姉と再会するため
協力することになった。』
クオードとクウトが一緒に生活してたなんて、何だか変な感じ。
あいつら絶対あたしの悪口言い合ってたでしょ!
なーんて。想像したら笑える。あいつらも、笑って会話してたのならいいな。
仲良く過ごしてくれてたのなら、嬉しい。
********
タキがクオードと一緒に暮らして…いや、歳の差はオレと同じくらいだ。
タキにとって、クオードは兄くらいに思ってただろう。そうだ、そのはずだ。
決してそんな…どこの馬の骨とも…いや分かってる奴だけど…
と、とにかく、クオードはメレアーデのことしか見えてない奴だ!
心配するようなことは起きてないだろう。きっと。
…オレも人のことは言えない、か…。
********
『我々は大きな野望を果たすために
穴倉を出て、どこかの町を目指して旅立つ。
この先の困難は並大抵のことではないはずだ。
だが…俺、クオードとクウトは必ずやりとげるだろう。
初心を忘れぬため、決意をここに残す。』
初心、ね。
心にモヤがかかったような気持ちになる。
これを聞かせてやりたい。クオードのバカ。
そうよ、あんたはこういう奴だったじゃない。
こんな決意表明するほど、バカがつくほど真面目で。
これからのエテーネ王国を導くはずだったのよ。
この時に抱いてた、やりとげた未来ってやつをさ…見たかったな。
********
この先の結末を知った上で、あいつの声を聞くのは心苦しい。
録音の時には、純粋にエテーネを救うことを考えてたんだろうな。
道を誤る前…この頃ならまだ、お前を救うことが…
もしも、お前がこの決意を録音したことを覚えていて、聞き直す機会があったのなら…
未来は変わったんだろうか。
オレは磁帯式録音機の電源を切った。
********
「これはグルヤンラシュの声ね……
肉声での録音をゲットできたのはいいけど
内容が突飛すぎて…時間を漂流って……?」
一緒に音声を聞いたキキミミの反応を見て、普通はそうなるわよねえ、と一人で納得してた。
時間を漂流なんて、普通の人に分かるはずない。
帝国技術庁を出て、ウルベア城下町をゆっくりと歩いていた。
音声のことは、ウルタ皇女やマリッチに話すこともできない。
08号が一緒なら、話し相手になってくれたかなー!
はー。どうしてあたし一人でこんなに抱えなきゃいけないのよ。
クオードのバカ!クウトもバカ!
クオードについての愚痴はクウトに言うべきなんだろうけど、クウトもどこにいるか分かんないからなあ…。
クオードの録音を思い出す。
クオードはエテーネ王宮の崩壊で古ウルベアに飛ばされて、同じく時空に飛ばされたクウトに会ったのよね。
クウトは…いつのクウトだろう?
もーあいつ、あっちこっちで会うからわけ分かんない!
えーっと…でもエテーネルキューブを作ったのはこの時代?だから、ナドラガンドで会ったクウトより前ってことになるのかな。
あーもうダメ!頭破裂する!難しいこと考えるのはやーめた!
今度クウトに会ったら聞く!そんで殴る!以上!
本当は、クオードも100倍くらい殴りたいんだからね!
勢いよく頭上に拳を振り上げ、空を切る。
空は夕日に染まってた。あいつの最期を思い出して息を飲んだ。
勝手にあたしの頭の中に出てこないでよ。…バカ。
********
キキミミに磁帯式録音機を渡して、お礼を貰った。
彼女は真実を知ったが、到底普通の人間が信じられる内容ではない。
スクープとして取り上げるのか、冗談っぽく話していた小説として作り上げるのか。
真相は分からない…いや、現代の書物を探せば伝承されてるかもしれない?
まずはドルワーム、ガタラも行ってみるか。
旧ウルベアやガテリア跡地はどうだろう。
現代のどこかで、グルヤンラシュの名前は見た気がする。
当時は、なんて覚えにくい名前だとしか思ってなかったが。
また片っ端から本棚を漁るか。チリさんに驚かれそうだ。
あとはビャン皇子に話を聞いて…
調べることはまだまだある。
タキのことは、きっと大丈夫だろう。
大魔神のいた地下の崩壊のときに時渡りの光が見えたから、どこかに転移したはずだ。
滅びたエテーネの村で、ハナと約束したんだ。
オレはタキを信じる。
オレが思っている以上に頼もしく、タキはオレの旅を支えてくれている。
次に会うのはいつだろうか。ゆっくり話す機会を取りたい。
あいつの好きなお菓子作りを一緒にしてさ。
そのときは、クオードの話も聞こう。
楽しかった話も、辛かった話も、全て受け止めたいから。
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