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道。 うちのこまとめページ

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プラコンとクリスマスの話

【2014.12.25】

うちのこ主人公達とプライベートコンシェルジュのクリスマス話です。
最初と最後はゲーム内専用台詞。

●カイトのプラコン:ミユーツ(ウェディ男・32歳)
仕事は完璧、基本的に優しいが、時々痛いところを突く辛口紳士。

●セカルのプラコン:サキノ(オーガ女・25歳)
一流のコンシェルジュを目指す、真面目ながんばりや。


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≪カイトとミユーツ≫

「メリークリスマス カイトさま。
 カイトさまと 一緒に過ごせることが
 私にとって最高のプレゼントです。」


いつも通りの余裕のある笑みを浮かべて、ミユーツは帰宅したカイトに軽く頭を下げた。

「ミユただいま!
見て見て、テンチョーのお手伝いして貰ったの」

元気よく家に入ってきたカイトは、赤いリボンのリースを手にして、ミユーツに差し出す。

「クリスマスリースですか」

ミユーツは、テンチョーが誰とは聞かずにさらりと流す。
普段からカイトが説明不足なのはよく分かっている。

「うん、キラキラして綺麗だからベッドの上に飾ろうと思って」

そう言いながらベッドに乗り上げようとするカイトを、ミユーツが制した。

「後で私が飾りましょう。埃が立ちます」

「埃?」

カイトがミユーツに目をやると、その後ろのテーブルにケーキが置かれていることに気付いて目を丸くする。

「これ、作ってくれたの?」

小さめのホールケーキはたっぷりの生クリームに包まれ、イチゴが上に中にとふんだんに使われている。真ん中には、MerryX'masと書かれたチョコプレートが乗っていた。

「ええ。以前イチゴを美味しそうに食べられていましたので、是非使ってみようと思いまして」

ミユーツが頭を上げて答えると、キラキラと目を輝かせるカイトと目が合った。
ミユーツはふっと笑みを漏らす。

「そんなに喜ばれるなんて、コンシェルジュ冥利に尽きますね」

「だーって、あたしのために作ってくれたんだもの!
嬉しいに決まってるじゃない」

カイトの弾んだ声を聞きながら、ミユーツはナイフを手にしてケーキを切り分け始めた。
四等分して、ひとつを皿に乗せるとカイトに差し出した。
カイトが座ると横に付き、フォークを手渡した。ナフキンをカイトの膝にかける。

「もー…そういうお堅いのはいいんだってば」

あまりに行儀よく準備されて、カイトは少しむず痒そうにする。

「クリームを服に落とされたら、洗濯するのは私ですからね」

にこやかな表情のままミユーツが言うと、カイトは、うっ…と声を漏らして目を逸らした。


「ほら、食べよ!」

カイトはぶんぶんと首を振ると、切り替えたようにとびきりの笑顔を向け、ミユーツに座るよう促した。
ミユーツはワインのコルクを抜いて、グラスに注ぐ。赤い液体が渦を巻きグラスを満たしていく。

「飲みすぎないようにしてくださいね。
カイトさまはお酒に弱いのですから」

「分かってるって!さ、グラス持って」

「本当ですか?」とミユーツが笑顔で問いかけると、カイトは唇を尖らせてみせる。
拗ねるカイトを見て、ミユーツはふふ、と静かに笑いながら座った。

二人ともグラスを持つと、正面の相手を見て微笑む。グラスをコツンと当てて、カイトが高らかに発した。

「メリークリスマス!」



ケーキを食べながら楽しく談笑している中で、カイトが尋ねる。

「そういえばミユ、何か欲しい物ある?
いつもあたしが貰ってばっかりだから。
クリスマスプレゼントしたいの!」

「欲しい物ですか?
もういただきましたよ」

ミユーツが、さも当然そうに言うので、カイトは「んん?」とおでこに手を当てる。

「何かあげたっけ?」

「最初に言いました」

ミユーツはフォークを置き、ナフキンで丁寧に口を拭う。
そして「ううーん?」と更に悩み始めるカイトを見て、「人の話を聞いていませんね?」といつも通りの笑みを浮かべた。




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≪セカルとサキノ≫

「セカルさま?
何を作られているのですか?」

サキノが買い物から帰ってくると、主人であるセカルがキッチンに立っていた。

「ああ、おかえりサキノさん」

セカルは振り返って声をかけると、また顔を戻す。
泡だて器を手にして再び動かし出した。

「まさか、ケーキ…でしょうか」

そんなセカルの様子を見て、サキノは恐る恐る聞いてみる。

「ん?そうだけど」

セカルはきょとんとしながら答える。
サキノを見ると困った表情を浮かべていたので、はたと手を止めた。

「…何か、マズかった?」

「いえ!そういうわけではなく…。
セカルさまは、お料理が上手ですからね…」

サキノが目線を泳がせるので、セカルは首を傾げる。
よく見るとサキノが手に袋を持っていることに気付き、あっ!と声を上げた。

「ごめっ、もしかして材料買ってきた?
悪いことしちまったな…」

セカルは頭を掻くと、うなだれながらサキノに頭を下げる。

「いいんです!謝らないでください!
わたしが勝手に、その、作ろうとしていただけですし」

サキノは慌ててセカルに顔を上げさせる。
セカルと目が合うと、困った顔のまま微笑んだ。

「セカルさまが、わたしの食事まで作ってくださるのは大変ありがたいのですが…。
これでは、どちらがコンシェルジュか分からなくなってしまいます」

サキノにしては珍しい小言。
たまにセカルが料理や掃除、洗濯をやってしまうので、家に来ても手持ち無沙汰で困ることがある。

「いや、うん…すみません」

セカルが弱ったように平謝りするのを見て、サキノはくすりと笑ってしまう。

「そんなセカルさまに仕えられて、わたしは幸せ者です。
でも甘やかされてしまってはいけませんから。
わたしのコンシェルジュ修行に、ご協力いただけると嬉しいです」

サキノの言葉に、セカルは真っ直ぐな瞳を向けて笑いかける。

「そうだな、こんなオレで悪いけど。
お勤めよろしくお願いします」

「こちらこそ、不束者のコンシェルジュですが。
精一杯頑張らせていただきます」

そう改まって挨拶すると、どちらともなくふふふ、と笑い出した。



「あ、じゃあ洗濯お願いしていいかな。
聖天のスーツだっけ、何か貰ったんだ」

セカルは装備品袋から、真っ赤な服を出してきた。

「まあ、素敵なデザインの服ですね。
きちんと着られるように綺麗にしておきます」

サキノは渡された手袋やブーツを出して並べた後、王冠を手にして止まった。

「これも、被られたのですか?」

「ま…まあ、一応。最初だけは」

サキノの問いに、セカルはばつが悪そうに答える。
かすかに頬が染まるのを確認して、サキノはくすくすと笑い出す。

「あーもう、似合わなかったんだって!
想像しなくていいから!」

「いえ、きっと素敵な姿だったのでしょうね」

サキノには茶化す意図がないと分かっているので、セカルは恥ずかしそうに顔を背けた。



「あ、サキノさん、買ってきた材料見せて。
ケーキはチョコにしようか考えてたんだけどさ、消費しないといけないものがあるならメニュー変えるかも」

サキノの買い物袋を手に取り、セカルは中身を取り出し始める。
どうやら自身が料理をやめる発想はないらしい。
たまにセカルは分かっているようで分かっていない、天然なところがある。

呆気にとられたサキノは、やれやれと苦笑う。
何でも自分でやってしまう、逆の意味で困る主人。
しかし悪い気はしない。

「セカルさま」

キッチンに並んで立ってケーキ作りの準備をしながら、サキノが声をかける。
「ん?」と返したセカルに向かってにっこりと微笑んだ。


「メリークリスマス セカルさま。
 セカルさまと一緒に クリスマスを
 過ごせて とても 嬉しいです。」



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